お金がない

長男(中学生)と末娘(もうすぐ3歳)を連れて新都心公園へ行った日のことです。

いつからかパーキングが有料となっていたのは知っていましたが、

決して歩いて行けなくもない距離も今の僕には内地へ行くかの如く遠き道のり。

車を選択。



「悲劇」

散々遊んだ後、日が暮れそうになってきたので帰ることに。

パーキング出口は渋滞していました。

いざ自分の番になり、チケットを入れると「¥100」の文字が。

財布を見ると、


¥50 しかない、edyは普段使わないから持ってない


スマホ決済に慣れてしまい現金を持ち歩かなくなって幾年か。

こういう時たまにあります。

¥50足りない。


「謝って回る」

後ろには行列ができていて、前にも後ろにも行けない。

パニック


選択肢は2つでした。

1、「後ろの人に¥50借りる」

2、「行列の皆様に後ろへ下がっていただく」


僕が選んだのは「2」


10台くらいの車に謝り倒して周り少しづつ下がってもらって

一度中へ戻り考えました。日はとっくに暮れていました。


「踏んだり蹴ったり」

とりあえず車に長男を残して末娘を抱え近くのコンビニに、

(お金を下ろせば良い)と小走りしました。

コンビニについて財布を開けると、

キャッシュカード持ってない


そう、普段全て奥さんに預けていますので持ち歩いてません。

クレジットカードは持っていましたが、キャッシングは最低1万円から。

パーキングで1万円札は使えないし、

なによりなんとなく「1万も借りるのいやだ」と考えてしまい

他の手を考えるも何も浮かばない。

末娘は「チョコ買って〜」と叫ぶ始末。パニック拡大。


「結局」

スマホ決済でチョコを買い、娘を抱えて家まで歩きながら、

家にいた次男に「今いくら持ってる?」と電話してみると


¥150ならある


(ないよりましか)

こうしている間にもパーキング料金が¥200を超えてしまうかもしれない恐怖と闘いながら

「それでいい、今すぐ下へ持って降りてくれ」と懇願。事情を説明している暇はない。


「さらなる悲劇」

末娘は次男に預け、やっと手に入れた合計¥200を握り締め、

長男が待つ公園に戻る。

当然走る。嫌だけど走る。50歳過ぎているけど走る。

もう随分と長い時間が流れた気がした。


そして車に戻り、再度出口渋滞に並び、自分の番が来る。


(頼む、¥200で足りてくれ)


もし¥300になっていたら、もう謝り倒す気力はない。

なんだったら強引に突破するしかない。これで犯罪者の仲間入りだ。

そう覚悟しながら、祈るようにチケットを入れようとしたその時、

(あ、チケットさっき取り忘れた)


そう、1度目のパニックの時、慌てていて一度入れたチケットを戻さずに

その場を離れてしまっていました。

(仕方ない)

恐る恐るあまり押されていないのか、汚れていない「紛失ボタン」を押すと表示されたのは

¥3,000の文字


(終わった、、、何もかも。いい人生だった、みんなありがとう)


¥300どころか10倍。今の俺にそんな大金は用意できない。

スマホでチョコならいくらでも買えるのに、

なんだったらアイスだって肉まんだって買えるのに、

現金はない。¥200しかない。


結局後ろの車の皆様に再び「謝り倒し」再度パーキングの奥へと戻りました。


「天は見離さなかった」

(帰れない。どうしてもここから抜け出せない)

しばし途方に暮れていると、その存在すら忘れかけていた長男が後部座席から

「チケット探したらあるんじゃない?」と言うので車を降りて探してみると


あった!上に置いてあった!


おそらく最初のパニックの時真後ろに並んでいたドライバーさんが

その状況を把握してチケットを支払い機の上に置いてくれていたのだろう。

天は我を見離さなかった。


おもむろにそのチケットを機会に挿入してみる。

既に過ぎた時間は1年にも10年にも感じた。

長く苦しい時間だった。

そしてついにその数字が表示される。

「¥100です」


え?


(うぉ〜〜〜〜〜!)

後から聞くと、この公園のパーキングは通常遊びに行く程度なら基本¥100だそうで、

見事に脱出成功。


まるでハリウッド映画のラストシーンの如く、

車の窓を全開にして、腕を投げ出し、

その晴れやかな夜空を見ながら帰りました。


次男には¥100を返しました。